第1回 森の調査会「森を観る」が開催されました。

2016年11月12日(土)、レナフォの主催で、社会福祉法人 進和学園・株式会社 研進のご協力をいただいて、第1回森の調査会「森を観る」が開催されました。

宮脇昭先生の提唱される「ふるさとの木によるふるさとの森づくり」が始まったのは約45年前です。
以来、国内外で森づくりが行われてきましたが、
例えば10年前の植樹祭で木を植えた「あの場所」は、その後どのような森になっているのか?
専門的な視点で、10年目の森の調査をしてみよう、という発想のもと、初めての「森の調査会」が企画されました。

新しくなったメールマガジン「森づくりマイスターマガジン第1号」と「第2号」を通じて参加者を募集したところ、22人の方がご参加下さいました。
中には、10年前に今回の調査地の植樹祭に行かれた方、ご夫婦でご参加下さった方、植生工学士の方など、いろいろな方がいらっしゃいました。

当日は、前日までの秋の冷え込みが嘘のような快晴となり、ぽかぽか日和となりました。
進和学園のマイクロバスに乗り込んで、調査会の始まりです!

 

【第1回 森の調査会「森を観る」】

日程:2016年11月12日(土)
参加費:2,500円(ランチ付き)
参加者:22人

【森の調査会 全行程】

時間 場所 内容
9:00 小田急線「秦野」駅 改札前集合、マイクロバスに乗車・出発
9:20 調査地①
出雲大社相模分祠「千年の杜」(秦野市)
森の散策、説明 植樹祭当時の映像、説明
(説明者:相模分祠 草山清和 宮司)
12:30 調査地②
社会福祉法人 進和学園「しんわルネッサンスの森」(平塚市)
「しんわルネッサンスの森」に囲まれた食堂で昼食
会議室でパワーポイントによる説明
(説明者:株式会社 研進(進和学園の窓口会社)出縄貴史 代表取締役社長)
「金剛寶山輪王寺の森2016夏」ドローン映像の放映
(映像提供者:エスペックミック株式会社 髙野義智氏)
森の散策、説明
(説明者: 出縄貴史 代表取締役社長)
15:20 調査地③
高座清掃施設組合「高座の杜」(海老名市)
森の説明
(説明者:レナフォ 恩田重男 副理事長)
プレ植生調査
(担当:エスペックミック株式会社 髙野義智氏)
プレ毎木調査
(担当:レナフォ 髙野義武 理事長)
17:00 小田急線「海老名」駅 解散
調査会のスタートです!

調査会のスタートです!

調査地①
出雲大社相模分祠「千年の杜」(秦野市)

森の説明をする草山宮司。

森の説明をする草山宮司。

宅地だった土地にゼロから森を作った経緯を話してくださいました。
勉強会を何度も開催して、森づくりへの理解を広めたこと。単一な針葉樹林に広葉樹の苗木を植えて豊かな森づくりを行ったこと。里山の森を今後どのように維持管理していくべきかなど。

植樹直後(2007.6.3)の様子。ただの側溝が現在は・・・

植樹直後(2007.6.3)の様子。ただの側溝が現在は・・・

現在(2016.11.12)の様子。木々は生い茂り、蛍の住む小川になっていました。

現在(2016.11.12)の様子。木々は生い茂り、蛍の住む小川になっていました。

 

樹高は10m以上になったか?

樹高は10m以上になったか?

出雲大社相模分祠「秦野千年の杜」の前で。

出雲大社相模分祠「秦野千年の杜」の前で。

調査地②
社会福祉法人 進和学園「しんわルネッサンスの森」(平塚市)

森の説明をする出縄社長。

森の説明をする出縄社長。

宮脇方式の森づくりと障害を持つ方々の生き甲斐・働き甲斐づくりには共通点があり、森づくりをはじめたという経緯を話してくださいました。スライドは、「しんわルネッサンスの森」植樹当初(2006.4.22)の様子。

現在(2016.11.12)の「しんわルネッサンスの森」の様子。

現在(2016.11.12)の「しんわルネッサンスの森」の様子。

(写真左手前に)植樹から1年目、2、3、4年目の場所が隣同士にあり、一目見てその生長の違いが比較できました。

(写真左手前に)植樹から1年目、2、3、4年目の場所が隣同士にあり、一目見てその生長の違いが比較できました。

調査地③
高座清掃施設組合「高座の杜」(海老名市)

森の説明をする恩田副理事長。

森の説明をする恩田副理事長。

植樹直後(2006.10.1)の様子。

植樹直後(2006.10.1)の様子。

現在(2016.11.12)の様子。

現在(2016.11.12)の様子。

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樹高計を使って、木の高さを調査。大きいもので11mありました。胸高直径も測り、単木での推定CO2固定量を算出しました。その平均単木固定量に樹木の平均密度(1m×1mで2.4本)をかけて、植栽地全体の面積(1875㎡)をかけて、植栽地全体のおおおまかなCO2固定量を算出しました。年間約38tでした。

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植生調査に挑戦しました。生長した木はポット苗の時とは違い、葉の色・形・大きさが変わっていて同定(植物の種類名をあてること)はなかなか困難で、日頃からの訓練が欠かせないことがわかりました。特に森の中の高木は葉の位置が高く見えないため、判別しにくかったです。

森全体の様子は、袖には袖の群落であるつる植物などが絡んでいて、中央は主木が1m/年で生長し、10mのスカイラインを美しく形成していました。自然淘汰されて枯れた木も、ひこばえを出し、林床には新たなどんぐりから芽を出した実生があり、森の生きる力を見せつけられるようでした。高座の杜は、植樹3年間のメンテナンスがしっかり守られた活着率の非常に高い森となっていました。

「高座の杜」にて最後の集合写真。

「高座の杜」にて最後の集合写真。

参加者アンケートより】

・高座の杜で行ったプレ毎木調査の結果から、推定CO2固定量が算出できて興味深かった。年間の固定量が一般家庭8軒分だったため、まとまった面積の森を作らないと社会貢献できないのだなと思った。

・森の中に実際に入って調査できたことがよかった。

10年の森、20年の森、30年の森を比較してみたいと思った。森の中に散策路を設けると市民の憩いの場になるのでは。

CO2の固定量の計算が、具体的で勉強になった。

・高座の調査は初心者には難しかった。出雲大社の草山宮司の、荒れた薪炭林への宮脇方式の森づくりの導入が興味深かった。

・百聞は一見に如かず、いい調査会だった。

・いろいろなところで植樹祭に参加してきたが、10年目の森を観たのは初めてだった。10年経つと、伸びる木と枯れていく木があり、世の中の縮図のようだと思った。

・進和学園の出縄社長の「森づくりは人づくり」という言葉はとてもいいと感じた。

・バスツアーというのが子どもの頃の遠足のようで、遠足気分で参加できた。

・高座の杜でのプレ調査では、まさに「ふるさとの森づくり専門家研修」で学んだ、森の成り立ちの一部を確認することができた。樹高計測では、思い思いに、自動計測機、分度器、巻き尺と用意してきたものの、森の中では使用困難で思い知らされた。真横に新幹線が走っており、騒音の減衰調査をするにも格好の場所であった。全容を見て、どんぐりを見て、森の中の空洞化に触れ、柔らかい土壌に触れ、匂いを嗅ぎ、同定し、計測し、CO2固定量の算出、と、驚くばかりの調査会であった。

 

参加者の皆様からは「是非、第2回を!」という声をたくさんいただきました。
ご参加くださって、本当にありがとうございました。

 

【写真の提供について】

「千年の杜」と「高座の杜」の10年前の写真は、当時の植樹祭参加者であり、今回の調査会にもご参加下さった、安西裕氏からの提供です。ありがとうございました。
また、NOAH-Pressoの大矢野範義氏からは以下の写真をご提供いただきました。
草山宮司の写真、現在の「千年の杜」、出縄社長の写真、植樹から1234年目の森を観る写真、恩田副理事長の写真、樹高計を使った調査の写真。

お二方のご厚意に深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

リーフレット 第1回森の調査会「森を観る」